ファイナンシャルプランナー3級(以下、FP3級)の勉強を開始するにあたり、勉強方法を確立することは、早期合格するために絶対に必要になります。
FP3級の試験は合格率が80%の試験であり、基本的にきちんと勉強した人を合格させるための試験になります。
ただし、きちんとした勉強方法を確立しないと合格までの勉強期間が2か月~3か月と長くかかってしまうことになります(FP3級は最長でも1か月程度で合格できる試験です)。
今回は、これから勉強を開始する人、すでに勉強を開始しているが不安な人のために、FP3級の勉強方法を確認していきましょう。
最短合格するための結論
最初に、FP3級の試験に最短で合格するための結論を記載します。
FP3級の試験を最短で合格するためには、「最新の法令改正を反映した過去問集を入手し、解答→問題の順に読み進めることを4回繰り返す」ということになります。
以下では、なぜそのような結論になるかを掘り下げていきます。
FP3級の難易度と試験内容の要点
まず、FP3級の難易度ですが、合格率80%の試験のため、きちんと勉強すれば、誰でも合格できる試験です。
そして、「きちんと」勉強するためには、FP3級の試験内容の要点を正確に把握しておく必要があります。
FP3級の試験内容の要点を列挙すると以下のようになります。
- 過去問と同一か類似の問題が多く出題される
- 知識を知っているかどうかについての問題が出題される
- 法令の改正に準拠した問題が出題される
過去問と同一か類似の問題が多く出題される
なぜ「過去問と同一か類似の問題が多く出題される試験」かというと2つの理由があります。
1つ目の理由は、公表されている試験範囲の内容が膨大なことです。
FP3級の試験範囲は、日本FP協会のホームページの「3級FP技能検定 試験要綱」のところに内容が記載されており、以下の6つの分野に分けることができます。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業承継
この6つの分野はまともに勉強をするとどれも膨大な内容を含むものです。
例えば、相続・事業承継の分野ですが、これだけで税理士試験の主要な1科目になるもので、税理士受験生は何年もかけてこの科目を勉強することになります。
対して、FP3級の受検勉強をする方は、相続・事業承継の分野の勉強に充てられる時間はどんなに多く見積もっても1週間程度になります。
その点に関しては、出題者も重々熟知しているので、試験範囲の内容を際限なく広げないために、過去問と同一か類似の問題を作成し、難易度を調整しています。
2つ目の理由は、FP3級の試験は正答率60%で合格という絶対的基準が決められているからです。
FP3級の試験の合格率は、概ね80%前後で毎回推移しています。
つまり、きちんと勉強をした人を全員合格にするための試験です。
では、もしあなたがFP3級の試験出題者で、正答率60%以上を維持させつつ、合格率80%に維持するためにはどうするでしょうか?
一番簡単な答えは、勉強してきた人が絶対に解ける問題を全体の60%以上出題することです。
この勉強してきた人が絶対に解ける問題が過去問と同一か類似の問題ということになります。
以上、2つの理由より、合格率80%のFP3級の試験では、「過去問と同一か類似の問題が多く出題されることになります。
知識を知っているかどうかについての問題が出題される
FP3級の試験で出題されるのは、「知識を知っているかどうか」についての問題です。
注意して頂きたいのは、皆さんが学校教育で習ってきた思考力を問う問題とはまるで異なることです。
例えば、FP3級では以下のような問題が出題されています。
「所得税において、老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取ったことによる所得は、非課税所得となる」答えは×ですが、老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取ったことによる所得が「課税所得」になるという知識を知っているかどうかを問うだけの問題になっています。
このように、FP3級では、思考力を問う問題ではなく、知識を知っているかどうかについての問題が出題されます。
法令の改正に準拠した問題が出題される
FP3級の問題は法令に基づいて作成されています。
大雑把に言うと、多くの法令は毎年3月末までに改正されます。
よって、多くの専門学校や市販の教材(テキストや問題集)は、例えば、2024年~2025年度版のように毎回の法令改正を踏まえて更新されていくことになります。
法令が改正された箇所は、過去に出題された問題が焼き直されて再出題された際の解答にも関わってきます。
例えば、「老齢基礎年金を繰上げ受給した場合の年金額は、繰上げ月数1月当たり0.5%の割合で減額される。」という問題が2019年9月の試験で出題されています。
2019年9月時点では、解答は〇ですが、現状では0.5%→0.4%に改正されているので、解答は×になります。
最短合格するための勉強方法
FP3級の試験内容の要点を理解できれば、おのずと最短で合格するための勉強方法も見えてきます。
要約すると、最短で合格するためには、以下の3つの条件を満たせばよいことになります。
- 過去6回分の本試験の過去問を繰り返し解く
- 最新の法令改正を反映した過去問を解く
- 問題は解答から先に読む
過去6回分の本試験の過去問を繰り返し解く
FP3級の本試験の問題は、毎回、過去問と同一か類似の問題を多く含みます。
よって、勉強すべき教材は過去問又は過去問をベースにした問題集になります。
では、実際に過去に遡って何回分の過去問を解けば、FP3級の合格点に辿り着けるでしょうか?
これに関しては、当社ですでに調査しており、過去問6回分となります。
過去6回分の過去問を解けば、本番の試験で70%程度の問題は解くことができます!
なお、FP3級の試験はマークシートの2択か3択なので、最終的な正答率は80%程度になります。
そして、FP3級の合格ラインは正答率60%以上なので6回分の過去問を解いて本試験に臨めば、最短合格出来ることになります。
ただし、本番の試験で70%程度の問題を解くためには、6回分の過去問の知識を身につけることが条件になります。
よって、過去問を最低でも4回程度繰り返し、知識を吸収する必要があります。
問題は解答から先に読む
FP3級の試験で出題されるのは、「知識を知っているかどうか」についての問題です。
つまり、問題文を読んで自分自身で回答を考える時間は無駄ということになります。
最短でFP3級に合格するためには、自分の頭で考えて問題を解くという時間をなるべく最小にすることです。
よって、解答を先に読んで、論点を把握した上で問題文を確認することがFP3級での最適な勉強方法になります。
最近の学校教育や職場の研修などでは、皆さんに考えさせることを主目的にした問題が多いですが、法令系の資格試験では、先人達が積み重ねてきた知識を覚えて、それをそのまま答えることが重要になります。
よって、解答を先に読んで知識をインプットする勉強方法は理に叶った勉強方法で多くの合格者が行っている勉強方法になります。
最新の法令改正を反映した過去問集を解く
FP3級の試験は、過去に出題された問題が頻繁に再出題されます。
よって、過去問又は過去問をベースとした問題集を繰り返し解けば、合格に近づきます。
ただし、確実に最短合格を目指すならば、「生の」過去問をそのまま利用することはお勧めしません。
なぜかというと、最新の法令改正でインプットすべき知識に変更が生じている可能性があるからです。
例えば、前述の通り、「老齢基礎年金を繰上げ受給した場合の年金額は、繰上げ月数1月当たり0.5%の割合で減額される。」という問題が2019年9月のFP3級の試験で出題されています。
2019年9月時点では、解答は〇になりますが、現状では0.5%→0.4%に改正されているので、解答は×になります。
この問題の過去問の解説は、2019年9月時点の旧法令に基づいているので、0.5%で〇という解説になっているでしょう。
ただし、現状の法令では、0.4%が〇なので、「生の」過去問を解いていると間違った知識を身につけてしまいます。
よって、「生の」過去問を解くのではなく、最新の法令改正を反映した過去問集を探し出して解くと良いでしょう。
最後に
この記事を読んで下さっている皆さんは、いろいろな試験を経験しており、それぞれの勉強方法を確立していることでしょう。
ただし、FP3級に限らず、資格試験にはそれぞれの特徴を踏まえた勉強方法というものが必ず存在します。
FP3級の勉強を始める前にあなた自身の勉強方法と資格試験特有の勉強方法をミックスする方法を考えることが、最短で合格するための近道になります。
この記事が少しでもあなたのお役に立てることを願っています。