市区町村が運営する公的介護保険は、高齢になり自分で身の回りのことをするのが厳しい状況になった時に、介護サービス費用の9割を負担してくれる保険です(つまり、自己負担額が1割になる)。
この介護保険は40歳以上の方は必ず加入しなければならず、毎月の保険金が徴収されることになります。
日本の高齢化が進んだことで2000年から導入された制度ですが、保険料が給与や公的年金からの天引きということもあり、あまり知らない人も多いと思います。
今回はそんな公的介護保険(以下、介護保険)について解説していきます。
被保険者・保険料
介護保険に加入しなければならない人は、①第1号被保険者と②第2号被保険者の2種類に分けられます。
第1号被保険者
第1号被保険者は、市区町村に住所を有する65歳以上の人で、保険料は公的年金から天引きされます。
ただし、年金額が低額の場合は、市区町村に直接納付しなければならない場合もあります。
保険料については、市区町村が3年ごとに1人あたりの基準額を定めており、そこから所得基準によって人ごとに負担額が細分化され決定されています。
1人あたりの基準額ですが、徐々に増加傾向にあり、20年前の基準額に対して、現在の基準額はほぼ倍になっています。
第2号被保険者
第2号被保険者は、市区町村に住所を有する40歳以上65歳未満の人が対象になります。
保険料の納付方法については、会社員と自営業者で異なります。
会社員は給料から天引きされて納付され、自営業者は納付書や口座振替で市区町村に直接納付することになります。
保険料については、国が毎年1人当たりの保険料率を定めています。
この保険料率も年々上昇傾向にあり、20年前の負担率に比べて現在の負担率はほぼ2.5倍~2.6倍になっています。
保険給付の条件
市区町村から要介護または要支援の認定を受けた人が保険給付を受けられます。
要介護とは、介護が必要な状態の人で、介護の度合に応じて1~5まで分けられ介護保険の給付限度額が変わってきます。
要支援とは、社会的な支援が必要な状態な人で、支援の必要な状態に応じて1と2に分けられ介護保険の給付限度額が変わってきます。
要支援1→要支援2→要介護1→要介護2→要介護3→要介護4→要介護5の順番で補償が手厚くなるイメージです。
もう少しだけ細かく説明すると、要介護の場合、介護給付の対象となり、要支援の場合は予防給付の対象となります。
介護給付の対象は、居宅サービスと施設サービスがありますが、予防給付の対象は居宅サービスのみです。
つまり、施設サービスの対象である、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホームに要支援の状態では入居することができません。
要支援の状態で介護付きの施設に入居したいときは、民間の介護付き有料老人ホームなどを選択することになります。
また、特別養護老人ホームだけは、要介護3からしか入居できません。
自己負担割合
具体的には、介護保険サービスを利用した時の自己負担額が1割になります。
ただし、自己負担額については、一定以上の所得がある人は2割、現役並みに所得がある人は3割になります。
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