配当金にかかる税金について
個人が貰う株式等の配当金には所得税が課税されます。
配当金にかかる所得税ですが、申告の方法が3種類用意されています。
①申告不要制度、②総合課税制度、③申告分離制度の3つです。
申告不要制度
その名の通り、所得税の確定申告を行わず、配当金の受取時に20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の源泉徴収が行われるだけで納税を完了する方法です。
なお、源泉徴収とは、配当金を支払う企業が、配当金を支払う際に所得税分を事前に差し引き、国に納付する制度です。
自分で確定申告をする手間を省けるため一番利用しやすい制度です。
総合課税制度
受け取った配当金以外の他の所得(事業からの儲けや給与等)と合算して、所得税を計算する方法です。
この場合のみ、配当控除が適用されることになります(配当控除については下で説明します)。
なお、非上場会社株式からの配当金や大口株主になっている上場会社株式からの配当金に対しては、源泉徴収も20.42%(所得税だけ20.42%なので注意!)で行われますが、総合課税制度を必ず適用して確定申告を行わなければなりません。
申告分離課税制度
他の所得(事業からの儲けや給与等)と合算しない代わりに、上場会社株式の損失と上場会社株式の配当金が損益通算できる方法になります(非上場会社株式の配当金は損益通算できない!)。
損益通算とは、例えば、上場株式A社の株式を売却して、40万円の赤字があり、上場会社B社より100万円の配当金を貰っていた場合、100万円-40万=60万円に対して所得税が課税される方式です。
なお、申告分離課税制度を適用した時の所得税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)になります。
よって、前述の例えだと、60万円×20.315%≒12.19万円が所得税の納税額になります。
申告分離課税のメリットは、上場会社株式の譲渡損があるときに、上場会社株式の配当所得を減額し、所得税の納税額を減らしてくれることです。
配当控除とは
配当控除とは、国内株式の配当金について、総合課税として所得税の確定申告をした場合に適用される税額控除のことです。
株主が企業から受ける配当金は、税引き後の利益に対する配当です。
つまり、企業側ですでに利益に対して法人税を支払った後の利益を配当しています。
この配当金を株主が貰った時にさらに所得税を掛けてしまうと、法人税と所得税の二重課税になってしまいます。
法人税と所得税の二重課税を避けるために、株主に税額控除という形で税金の支払額を減額させる制度が配当控除になります。
配当控除の控除率
配当控除は、課税総所得金額等が1,000万円以下か1,000万円超かで控除率が異なります。
課税総所得金額等が1,000万以下の場合、所得税については、配当所得の金額の10%が控除されます。
課税総所得金額等が1,000万円を超える場合は、1,000万円を超えた部分について、所得税の控除率は、配当所得の金額の5%になります。
なお、住民税については、配当所得の金額の2.8%が控除されることになります。
課税総所得金額等とは、課税総所得金額、課税長期(短期)譲渡所得の金額、上場株式等に係る課税配当所得の金額、株式等に係る課税譲渡所得等の金額および先物取引に係る課税雑所得等の金額の合計額をいいますが、難しいので事業所得や給与所得などの合計とざっくり覚えておいてください。
まとめ
非上場会社の株式からの配当金や大口の株主の配当金の場合には、総合課税制度のみが利用できることになります。
それ以外の株式の配当金の場合、申告不要制度を利用するのが一番簡単でストレスがありません。
ただし、少しでも税金を減らしたい人は、総合課税制度や申告分離課税制度を検討してみるのも良いかもしれません。