扶養控除とは、親族(子供や親)を扶養している人が利用できる所得控除です。
扶養控除は、年末調整や確定申告を行うことで適用することができ、所得税の納税額を減らす効果があります。
今回は、扶養控除の対象者と種類・控除される金額について説明していきます。
扶養控除とは
扶養控除とは、所得税額を減少させることができる「所得控除」の1つで、要件に該当する子供や親がいる場合に適用できます。
扶養控除を適用すると、扶養控除の金額×所得税率の分だけ所得税を減額することができます。
例えば、大学生(19歳)の子供がいる父親で、所得税率が30%だった場合、63万円(特定扶養親族)×30%≒19万円の所得税額を減らすことができます。
ただし、扶養控除は納税者自身が申告をしないと受けられませんので、扶養控除がどのようなものかを理解し、漏れなく申告することが大切になります。
扶養控除の対象者
扶養控除の対象者を「控除対象扶養親族」と呼び、以下の5つの条件をすべて満たさなけばなりません。
配偶者以外の6親等内の血族および3親等内の姻族
配偶者には別途配偶者控除があるため、扶養控除の対象にはなりません。
また、6親等内の血族には甥や姪まで含まれ、3親等内の姻族には配偶者の兄弟の子供まで含まれるので、近しい人ならばほぼほぼこの要件は満たせます。
納税者と生計を一にしていること
基本的には、同居している人を生計一にしているといいます。
ただし、一人暮らしをしている大学生などは、生活費や学費の送金が親から行われているので、別居であっても生計一にしていることになります。
控除対象扶養親族の合計所得金額が48万円以下
例えば、控除対象扶養親族である息子がアルバイトで103万円以上稼いでしまうと、年間合計所得金額が48万円を超えてしまうことになります。
合計所得金額とは、事業所得(事業の儲け)、給与所得(アルバイト・パートの収入)、雑所得(年金に係る収入)、不動産所得(不動産賃貸業による儲け)の年間合計額のことをいいます!
青色申告者の事業専従者給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者でない
青色申告者の事業専従者と白色申告者の事業専従者とは、個人で事業を行っている納税者の家業を手伝ってお金をもらっている親族のことです。
青色申告者の事業専従者給与や白色申告者の事業専従者の給与を必要経費にするための要件は、6か月超事業専念するなどハードルがかなり高いです。青色申告者の事業専従者給与である程度の金額を出せない限り、扶養控除を利用した方が費用対効果が良いでしょう!
扶養控除を受ける年の12月31日時点で16歳以上であること
15歳までは児童手当の対象になるため、扶養控除は受けられません。
扶養控除の種類と控除額
扶養控除には以下の4つの種類があり、それぞれ対象者と控除額が異なります。
なお、どの扶養控除に該当するかは、所得税の納税者本人が判断することになります。
一般の控除対象扶養親族
控除対象扶養親族のうち、高校生、又は控除を受ける年の12月31日時点で23歳以上70歳未満の人を一般の控除対象扶養親族といいます。
扶養控除の金額は38万円になります。
特定扶養親族
控除対象扶養親族のうち、控除を受ける年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の人を特定扶養親族といいます。
扶養控除の金額は63万円になります。
老人扶養親族(同居老親等以外)
控除対象扶養親族のうち、控除を受ける年の12月31日時点で70歳以上となっており、同居老親等に該当しない人(別居している親族)を老人扶養親族(同居老親等以外)といいます。
扶養控除の金額は48万円になります。
老人扶養親族(同居老親等)
控除対象扶養親族のうち、控除を受ける年の12月31日時点で70歳以上となっており、かつ納税者や納税者の配偶者と生活を一にしている人を老人扶養親族(同居老親等)といいます。
別居している人や、老人ホームに入所している人などは、老人扶養親族(同居老親等以外)に該当するため、老人扶養親族(同居老親等)には該当しません。
扶養控除の金額は58万円になります。
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