金融資産運用を行うためには、ポートフォリオ運用を知っておくことが重要になります。
ポートフォリオ運用は、投資資金を異なる複数の銘柄に分散して投資することにより、すべての銘柄が同時に下落するリスクを減らしつつ、高いリターンを維持する運用方法のことです。
今回は、ポートフォリオ運用の基礎知識について確認していきましょう。
ポートフォリオ運用とアセットアロケーションの違いについて
ポートフォリオと同じような意味の言葉にアセットアロケーションというものがあります。
アセットアロケーションは、アセット=「資産」とアロケーション=「配分」に分けられ、簡単に言うと「資産配分」のことです。
つまり、アセットアロケーションは株式や債券や預貯金などのジャンルごとの資産配分状況を示す言葉になります。
例えば、投資資金を株式に50%、債券に30%、預貯金に20%配分することをアセットアロケーションといいます。
ポートフォリオ運用とは、さらに具体的な金融商品の組み合わせになります。
つまり、投資資金のうち株式に50%振り分けるとアセットアロケーションで決めた場合、この50%をどの銘柄の株式に振り分けるかということです。
例えば、A株式に20%、B株式に10%、C株式に20%と振り分けることをポートフォリオ運用といいます。
まずは、アセットアロケーションを定め、その上でポートフォリオ運用を定めるという順番になります。
期待収益率とは
ポートフォリオ運用を行うためには期待収益率が参考になります。
期待収益率とは、投資により獲得が期待できるリターンの平均値のことで、簡単にいうと将来期待される利回りのことです。
ポートフォリオ運用を行う目的は、この期待収益率を高めつつ、分散投資を行い、暴落リスクを最小限に抑えることです。
なお、ポートフォリオ運用の期待収益率は以下の計算式で算定できます。
ポートフォリオ運用の期待収益率=(各銘柄の構成比×各銘柄の収益率)の合計
例えば、株式Aの期待収益率が2%、株式Bの期待収益率が4%の場合で、A株式に資産の6割、B株式に資産の4割を組み入れたポートフォリオの期待収益率は、60%×2%+40%×4%=2.8%ということになります。
相関関数とは
ポートフォリオ運用は分散投資を行い、暴落リスクを最小限に抑えることが主な目的でした。
そのため、同じような銘柄の株式や債券を購入しても意味がありません。
例えば、日経平均連動型の投資信託とTOPIX(東証株価指数)連動型の投資信託を購入して、資金を分散しても、両者とも日本経済の影響を受け、同時に暴落してしまうリスクがあるため、意味がありません。
そこで登場するのが相関係数です。
相関係数は、複数の投資対象の値動きの関係を示す係数で、+1から-1まであります。
それぞれの数字の特徴は以下の表の通りになります。
相関関係 | 値動きの関係 | リスク軽減効果 |
---|---|---|
+1 | 銘柄の値動きが完全に一致する | 効果が薄い |
0 | 銘柄間の値動きが全く関係ない | 意味をなさない |
-1 | 銘柄間の値動きが完全に反対になる | 効果大 |
つまり、相関関数が-1になる銘柄を見つけてポートフォリオを組めれば、リスク軽減効果は高くなるということです。
まとめ
現実では、期待収益率は常に変化しており、また相関関数も確定数字で出せるほど簡単ではないです。
しかし、ポートフォリオ運用を知り、少しでも期待収益率を高め、なおかつ相関関数-1に近づくように努力することで、より安定した投資を行えることになります。
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