金融商品取引で投資家を保護するための法律について

金融商品(株式や債券など)の売買を行う場合、販売業者は投資家より多くの情報を持っていることが多く、投資家にはない情報を利用して販売業者が利益を得ようとすることがあります

そんな情報量が少ない投資家を保護するために、金融商品の売買に関する様々な法律が制定されています。

主なものに①金融商品取引法、②金融商品販売法、③消費者契約法、④金融ADRの4つがあります。

金融商品の売買を行う際にはこの4つの法律の概略を知っているとよいでしょう。

金融商品取引法

金融商品取引法は、金融商品の取引の公正を図り、投資家の保護を目的とする法律です。

金融商品取引法で規定されているルールは多岐に及びますが、例えば、インサイダー取引などの不正な取引を廃除するための規制などがあります。

なお、投資者保護の観点からは、顧客の知識や経験、財産の状況、目的に合わない勧誘を行ってはならないとする「適合性の原則」というルールが重要になります。

金融商品販売法

金融商品販売法とは、金融商品の販売業者が顧客に対して、①元本割れの可能性などの説明すべき事項(重要事項)を説明しなかったり、②断定的な判断を提供したことにより顧客に損害が生じた場合の損害賠償責任に関して定められた法律です。

金融商品販売法では、①個人や②事業者などの一般の投資家が保護対象であり、プロである機関投資家は保護の対象外になります。

消費者契約法

消費者契約法とは、事業者の一定の行為により消費者が誤認又は困惑した場合に、消費者側から契約の申込み、承諾を取り消すことができることを定めた法律です。

消費者契約法は①個人を保護することを対象としており、金融商品販売法で保護の対象者になっていた②事業者は保護の対象外になります。

つまり、投資家が個人の場合のみ(業者やプロではない)、金融商品販売法と消費者契約法の両方の法律を天秤にかけ、自分が得する方を選択することが可能になります。

また、消費者契約法は契約の取消しができるため、事業者の損害賠償責任も免除になります

金融ADR

金融商品取引法、金融商品販売法、消費者契約法は法律でしたが、金融ADRは金融庁が管轄する制度のため少し趣きが異なります。

金融ADRは販売業者である金融機関と利用者である投資家の間のトラブルを訴訟によらずに解決する裁判外紛争解決手続きのことです。

具体的には金融庁が指定・監督する指定紛争解決機関(金融ADR機関といいます)が和解案を提示し、解決に努めます

なお、金融ADR機関になっているのは、全国銀行協会生命保険協会日本損害保険協会証券・金融商品あっせん相談センターなどです。