個人が所有する株式、投資信託の税金について

個人が所有する株式、投資信託にかかる所得税(税金)は、原則として儲けの20%になります。

ただし、東日本大震災からの復興財源に充てるため、通常の所得税に上乗せして復興特別所得税が追加で2.1%徴収されます。

大雑把に言ってしまえばこれだけなのですが、株式には特定口座というものがあり、投資信託には特別分配金というものがあり、少し複雑になっています。

今回は、個人が所有する株式と投資信託にかかる所得税(税金)について確認していきましょう。

株式にかかる所得税(税金)

株式で所得税が発生するのは、①配当を貰う場合と②売買により譲渡益が発生した場合です。

配当を貰う場合

配当を貰う場合、所得税法上の配当所得になります。

上場株式等からの配当金の所得税率は20.315%で、源泉徴収が行われるため確定申告不要になります。

ただし、申告をすると一定のメリットがありますので、例えば、本業の所得が多い人や株式の売買で損失を出してしまっている人は、配当金についても確定申告をした方が良い場合があります。

売買により譲渡益が発生した場合

株式の売買により譲渡益が発生した場合、20.315%の所得税が課税され、申告分離課税(他の所得と分離して所得税の課税を行う方法)で確定申告を行う必要があります。

ただし、確定申告を行うことが難しい人向けに確定申告の手間を簡略化する特定口座という制度があります。

特定口座は、証券会社の口座開設時に選択でき、「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の2つのパターンがあります。

「源泉徴収あり」を選択すると、譲渡益から自動的に所得税が天引きされて納税者に振り込まれます。

よって、株式の譲渡益が発生しても、所得税の確定申告が不要になります。

「源泉徴収なし」を選択すると、証券会社が年間の売買損益を計算して、「年間取引報告書」を作成してくれます。

この「年間取引報告書」を元に確定申告を行うことになり、確定申告を行う必要があるものの、かなり手間を省けます。

一般口座 確定申告 必要
特定口座(源泉徴収あり) 確定申告 不要
特定口座(源泉徴収なし) 確定申告 必要(ただし、「年間取引報告書」が貰えるため、確定申告が楽になる。)

投資信託の税金

投資信託は、株式投資信託か公社債投資信託のいずれかで税金の種類が変わります。

株式投資信託は、投資信託の財産の中に株式を組み入れることができるようになっているものです。

公社債投資信託は、投資信託の財産の中に株式の組み入れが絶対に認めらず、投資信託の財産は、公社債やCP(コマーシャルペーパー)等で運用されるものです。

株式投資信託と公社債投資信託では、税金の取り扱いが異なるため、保有する投資信託がどちらの分類になるか定款等で確認しておく必要があります。

株式投資信託にかかる所得税(税金)

株式投資信託から、①配当を貰う場合と②売却や償還があり譲渡益が出た場合の所得税(税金)についてみていきましょう。

配当を貰う場合

株式投資信託より配当を貰う場合、「普通分配金」「特別分配金」というものがあります。

「普通分配金」とは、基準価額が増えたことによる利益の分配部分のことです。

「特別分配金」とは、基準価額を割り込む形(元本の払い戻し)で出される分配部分のことです。

例えば、購入時の基準価額が10,000円、分配時の基準価額が10,700円、分配後の基準価額が9,900円で分配金が800円出たとします。

そうすると、普通分配金は10,700‐10,000=700円となり、特別分配金は10,000‐9,900=100円になります。

普通分配金は、所得税法上の配当所得になります。

普通分配金の所得税率は20.315%になり、源泉徴収が行われますので、確定申告不要になります。

ただし、確定申告をすると一定のメリットがありますので、例えば、本業の所得が多い人や株式の売買で損失を出してしまっている人は、普通分配金についても確定申告をした方が良い場合があります。

特別分配金は、元本の一部が配当という形で投資家に払い戻されたと考えられます。

つまり、利益を出した分からの分配金ではないので、所得税(税金)はかかりません

売却や償還があり譲渡益が出た場合

株式投資信託を売却した場合や償還した場合の税金は、株式の売却により譲渡益が出た場合の税金と同様の取り扱いになります。

つまり、株式投資信託の売買や償還により譲渡益が生じた場合には、20.315%の所得税が課税され、他の所得と分離して所得税の課税を行うという申告分離課税で確定申告を行うことになります。

ただし、確定申告を行うことが難しい人向けに確定申告の手間を簡略化する特定口座という制度があります。

特定口座は、証券会社の口座開設時に開くことができ、「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の2つのパターンを選べます。

「源泉徴収あり」を選択すると、譲渡益から自動的に所得税が天引きされて、納税者に振り込まれます。

よって、株式投資信託の譲渡益が発生しても所得税の確定申告が不要になります。

「源泉徴収なし」を選択すると、証券会社が年間の売買損益を計算して、「年間取引報告書」を作成してくれます。

この「年間取引報告書」を元に確定申告を行うことになり、確定申告を行う必要があるものの、かなり手間を省けます。

公社債投資信託の税金

公社債投資信託から、①配当を貰う場合と②売却や償還があり譲渡益が出た場合の税金についてみていきましょう。

配当を貰う場合

公社債投資信託の分配金は、所得税法上、利子所得となり、20.315%の源泉分離課税となります。

源泉分離課税のため、確定申告は不要です。

ただし、確定申告をして申告分離課税にすることも出来るので、例えば、上場株式等の配当金や売却益と相殺して税金を少なくすること(損益通算といいます)もできます。

売却や償還があり譲渡益が出た場合

公社債投資信託を売却した場合や償還した場合の税金は、株式や株式投資信託の売却により譲渡益が出た場合の税金と同様の取り扱いになります。

つまり、公社債投資信託の売買や償還により譲渡益が生じた場合には、20.315%の所得税が課税され、他の所得と分離して所得税の課税を行うという申告分離課税で確定申告を行うことになります。

ただし、確定申告を行うことが難しい人向けに確定申告の手間を簡略化する特定口座という制度があります。

特定口座は証券会社の口座開設時に開くことができ、「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の2つのパターンを選べます。

「源泉徴収あり」を選択すると、譲渡益から自動的に所得税が天引きされて、納税者に振り込まれます。

よって、公社債投資信託の譲渡益が発生しても、所得税の確定申告が不要になります。

「源泉徴収なし」を選択すると、証券会社が年間の売買損益を計算して、「年間取引報告書」を作成してくれます。

この「年間取引報告書」を元に確定申告を行うことになり、確定申告を行う必要があるものの、かなり手間を省けます。