景気動向指数は内閣府が毎月発表を行っています。
ただ、CIやDIといった専門用語が多いのに加えて、指標の見方の説明も非常に難解です。
そこで、今回は景気動向指数(CIとDI)について簡単にまとめてみましたので、ぜひご覧ください。
景気動向指数とは
景気動向指数とは、生産、雇用など様々な経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合することによって、景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された指標です。
つまり、景気動向指数は、総合的な景気の状況判断を行うための指標です。
CIとDIの関係
景気動向指数には、CI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)があります。
CI(コンポジット・インデックス)は、①景気が拡張局面と後退局面のどちらにあるのか、②景気変動がどの位の速さで進退しているかのペースを測定するために利用されます。
DI(ディフュージョン・インデックス)は、①景気が拡張局面と後退局面のどちらにあるのか、②各経済部門への波及度を測定するために利用されます。
なお、現状では、景気変動がどの位の速さで進退しているかが測定できるCIが重要視されており、DIは補助的に用いられるために公表されています。
CIとDIには、それぞれ、景気に対し先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数、遅れて動く遅行指数の3つの指数があります。
先行指数は、景気の動きを予測する目的で利用され、一致指数は景気の現状を把握するために利用され、遅行指数は景気の状況の事後的な確認のために利用されます。
CIとDIは共通の指標を採用しており、先行指数は11個(新規求人数など)、一致指数は10個(有効求人倍率など)、遅行指数9個(完全失業率など)の合計30個の指標があります。
【参考:指数一覧】
先行指数 | 一致指数 | 遅行指数 |
---|---|---|
①最終需要財在庫率指数 ②鉱工業用精算財在庫指数 ③新規求人数 ④実質機械受注(製造業) ⑤新設住宅着工床面積 ⑥消費者態度指数 ⑦日経商品指数(42種総合) ⑧マネーストック(M2) ⑨東証株価指数 ⑩投資環境指数(製造業) ⑪中小企業売上見通しDI | ①生産指数(鉱工業) ②鉱工業用生産財出荷指数 ③耐久消費財出荷指数 ④労働投入量指数 ⑤投資財出荷指数 ⑥商業販売額(小売業) ⑦商業販売額(棚卸業) ⑧営業利益(全産業) ⑨有効求人倍数 ⑩輸出数量指数 | ①第3次産業活動指数 ②常用雇用指数 ③実質法人企業設備投資(全産業) ④家計消費支出 ⑤法人税収入 ⑥完全失業率 ⑦きまって支給する給与(製造業) ⑧消費者物価指数 ⑨最終需要財在庫指数 |
CIの利用方法
CI(コンポジット・インデックス)は、①景気が拡張局面と後退局面のどちらにあるのか、②景気変動がどの位の速さで進退しているかのペースを測定するために利用されます。
具体的には、CIの一致指数の数値が上昇している時は景気の拡張局面、低下している時は後退局面になります。
また、CIの一致指数の数値の変化割合から、景気変動がどの位の速さで進退しているかのペースをを読み取ることができます。
ただし、CIの一致指数には、不規則な動きも含まれていることから、ある程度の月数の期間の動きをならしてみることが望ましいです。
例えば、1か月ごとのCIの一致指数が109.1⇒109.4⇒110⇒111.8と推移していれば景気は拡張局面と考えられます。
【参考:CIの一致指数の推移(内閣府経済社会総合研究所景気統計部参照)】

DIの利用方法
DI(ディフュージョン・インデックス)は、①景気が拡張局面と後退局面のどちらにあるのか、②各経済部門への波及度を測定するために利用されます。
DIの一致指数が、 50%を上回る場合は景気の拡張局面と判断でき、50%を下回る場合は後退局面と判断できます。
ただし、DIの一致指数には、不規則な動きも含まれていることから、ある程度の月数の期間の動きをならしてみることが望ましいです。
なお、DIはCIと違い、景気変動がどの位の速さで進退しているかのペースを測定することはできません。
例えば、4月のDIの一致指数の指標が65、5月のDIの一致指数の指標が85であっても、景気拡張が加速していることを表す根拠にはなりません。
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