自用家屋・貸家(建物の相続税評価額)について

相続により不動産を取得した場合、宅地(土地)・家屋(建物)のそれぞれに分けて相続税評価額を算出することになります。

今回は、家屋(建物)の相続税評価額の算出方法についてみていきましょう。

なお、宅地(土地)の相続税評価額の算出方法については、「自用地・借地権・貸宅地・貸家建付地の相続税評価額」の記事で紹介していますのでそちらもあわせてご覧ください。

自用家屋(じようかおく)

自用家屋(じようかおく)とは、自らが使用する建物のことです。

自用家屋の相続税評価額は以下の計算式で算定することができます。

自用家屋の相続税評価額

自用家屋の評価額=固定資産税評価額×1.0

固定資産税とは、市町村が毎年1月1日現在の家屋(建物)の「所有者」に対して課税する税金です。

そして、固定資産税評価額は、固定資産税を計算するための元になる金額で、市町村の担当者が一つずつ家屋(建物)を確認して決定しています

なお、家屋(建物)の固定資産税評価額は家屋の所有者の場合、毎年市町村から送られてくる「固定資産税の納税通知書」というもので確認できます。

貸家(かしや)

貸家(かしや)とは貸付用に供されている建物のことです。

貸家の相続税評価額は以下の計算式で算定することができます。

貸家の相続税評価額

貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

他人に家屋(建物)を貸す場合、所有者はその建物の使用権について制約を受けることになります。

建物の使用権の制約を相続税上も考慮するのが借家権割合で全国一律で30%と定められています。

賃貸割合とは、全部屋のうち実際に貸し出されている部屋の割合のことです。

例えば、10室ある賃貸アパートで8室が賃借人に貸し出されている場合、賃貸割合は80%になります。

まとめ

自用家屋と貸家の相続税評価額の計算式を比較すると、必ず貸家の相続税評価額の方が低くなる最大30%)ことが分かります。

貸家は人に家屋(建物)の貸している状態で、所有者としての色々な権利を拘束された状態になるので、その分、相続税の評価額も減額してあげようという相続税法上の趣旨になります。

よって、ご自身が住まない家屋で人に貸し出せるものがあれば貸家にすることで、相続税の節税対策になる可能性があります

ただし、家屋(建物)を貸し出すということは同時に土地を貸し出すことにもなるため、相続税法上の小規模宅地等の特例との関係が深く、場合によっては、自用地として持ち続けた方が相続税の節税対策になる場合もあります

相続税の節税対策をお考えの方はぜひ、小規模宅地の特例についての以下の記事の内容もおさえておきましょう。

【参考】 「相続税を大幅に削減する小規模宅地等の特例(土地の評価減の特例)