相続税は、決められた期限までに決められた方法で支払うことが非常に重要になります。
今回は、相続税の申告書の提出期限、納付期限と納付の方法についてみていきましょう。
相続税申告書の提出期限
相続税の申告書は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、亡くなった人(被相続人)の死亡時の住所を管轄する税務署に提出する必要があります。
なお、相続放棄をするときは、相続の開始を知った日の翌日から3か月以内に家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。
相続税の申告期限よりもかなり早い段階で、相続をするか放棄するかを選ぶことになりますので注意が必要です。
また、相続税の申告書は、相続財産が一定の限度額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えない限り提出する必要がありません。
例えば、亡くなった人(被相続人)に妻と子供が2名いた場合、法定相続人の数は3名になるため、3,000万円+600万円×3名=4,800万円を超えない限り、相続税の申告書を税務署に提出する必要はありません。
ただし、小規模宅地等の特例(土地の80%減額)や配偶者の税額軽減の特例(1億6000万円の軽減)を受ける場合には、相続税の申告書を税務署に提出しなければいけません。
相続税の納付期限
相続税の納付期限は、相続税の申告書の提出期限と同じで、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内となります。
なお、一般的には、申告書を提出してから納付を行うことが多いのですが、納付を先にして、その後申告書を提出しても大きな問題はありません。
相続税の納付は原則、金銭による一括納付です。
ただし、一定の要件のもと、物納や延納が認められます。
物納や延納とは、相続財産が不動産などだけで、金銭による納付が見込めない時に、金銭に代わる物で納付ができたり(物納)、金銭の支払いを一時的に待ってくれたり(延納)する制度のことです。
物納とは
物納とは、相続税の納付を不動産などの金銭以外で行うことです。
物納を行うための条件は以下の通りです。
- 金銭による一括納付が困難で、延納を適用しても金銭の納付が困難
- 相続税の納付期限までに物納申請書を提出し、許可を受けていること
- 物納する財産は、相続・遺贈によって取得した財産のみ(なお、抵当権が設定されている財産は物納できない)
延納とは
延納とは、相続税の納付期限を延ばしてもらうことです。
延納を行うための条件は以下の通りです。
- 金銭による相続税の一括納付が困難
- 納付すべき相続税額が10万円超
- 延納申請書を提出して許可を受けていること
- 担保の提供ができること
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