相続が発生した場合、相続財産に対して相続税が課税されることになります。
では、どのようなものが相続財産になるかというと、現預金・土地・建物・株式などです。
これらの相続財産は、それぞれ個別に相続税評価額という価値が付けられ、その相続税評価額を元に相続税額が決定されることになります。
今回は、上場会社株式、非上場会社株式の相続税評価額についてみていきましょう。
上場株式の相続税評価額
上場会社株式とは、証券取引所で売買できる株式をいいます。
言い換えると、市場価額で換金できる株式のことです。
よって、上場会社株式の相続税評価額は「ある一定時点」の市場価額(株価)となります。
では、ある一定時点の市場価額(株価)とはどのような価額かというと次の4つの価額のうち、一番安い価額になります。
- 相続が発生した日(相続される人が亡くなった日)の終値
- 相続が発生した日(相続される人が亡くなった日)の属する月の毎日の終値の平均額
- 相続が発生した日(相続される人が亡くなった日)の属する月の前月の毎日の終値の平均額
- 相続が発生した日(相続される人が亡くなった日)の属する月の前々月の毎日の終値の平均額
例えば、9月10日に亡くなられた人が上場会社であるA社の株式を所有していた場合で、株価が以下の場合であれば、8月のA会社の株式の毎日の終値の平均額である800円が相続税評価額になります。
①9月10日のA会社の終値 880円
②9月のA会社の株式の毎日の終値の平均額 900円
③8月のA会社の株式の毎日の終値の平均額 800円
④7月のA会社の株式の毎日の終値の平均額 1,000円
非上場会社株式の相続税評価額
非上場会社株式は、証券取引所で売買することができません。
よって、普段は相対取引で売買されており、公の市場価額というものがありません。
それゆえに、非上場会社株式の相続税評価額を算出することは、上場会社株式の相続税評価額の算出に比べて非常に困難になります。
非上場会社株式の相続税評価額の算出方法は、原則的評価方式と特例的評価方式の2つに分かれます。
原則的評価方式は、非上場会社株式の相続人が経営支配権を持つ人の場合に適用されます。
特例的評価方式は非上場会社株式の相続人が経営支配権を持たない人の場合に適用されます。
それぞれの評価方式についてみていきましょう。
原則的評価方法
原則的評価方式が適用される場合、従業員数・総資産額・売上高の3つの基準により非上場会社を大会社・中会社・小会社に区分します。
そして、大会社ならば、類似業種比準方式を採用し、小会社ならば純資産価額方式を採用し、中会社ならば、類似業種比準方式と純資産価額方式をミックスした方式を採用することになります。
なお、非上場会社の総資産に占める株式や土地の割合が一定水準以上の場合、特定評価会社と見なされ、会社の規模が大・中・小会社のいずれであっても、純資産価額方式で非上場会社の株式は評価されることになります。
類似業種比準方式(るいじぎょうしゅひじゅんほうしき)
類似業種比準方式とは、事業内容が類似している上場会社の株価と比較して、非上場会社の株価を算出する方式です。
つまり、類似業種の平均株価をもとに、1株当たりの配当、利益、純資産の各要素を加味して、非上場会社の株価を算定することになります。
純資産価額方式(じゅんしさんかがくほうしき)
純資産価額方式とは、仮に会社が解散したと仮定して、その会社の株主に分配される正味の財産価格で株価を算出する方法です。
なお、正味の財産価格は、会社の資産や負債を相続税の評価額に置き換えて差額を算出し、そこから解散した時に支払う法人税等の相当額をさらに差し引いて算出します。
特例的評価方式
特例的評価方式が適用される場合、配当還元方式で株価の評価が行われます。
配当還元方式とは、過去の配当実績を元に、非上場会社株式の相続税評価額を算定する方式です。
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