預貯金・生命保険契約に関する権利の相続税評価額について

相続税の課税対象となる財産には、不動産・株式・債券・預貯金・生命保険契約に関する権利などいろいろなものがあります。

今回は、相続税の課税対象になる、預貯金・生命保険契約に関する権利の相続税評価額について確認していきましょう。

預貯金の相続税評価額

一口に預貯金といっても、普通預金や定期預金などの色々な種類があります。

まずは、①一般的に金利が高くなる「定期預金」系の預貯金と②一般的に金利が低くなる「普通預金」系の預貯金に区分します

金利が高い「定期預金」系の預貯金に関しては、以下の計算式で預貯金の相続税評価額を計算することになります。

定期預金系の預貯金の相続税評価額

相続税評価額=預金の残高+(解約時の既経過利子の額-源泉所得税相当額)

実は皆さんが日頃、通帳で見る預金利息の入金額は、源泉所得税等の控除後の金額になります(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%、合計20.315%)。

相続の場合で、金利に重要性があるときは、預金の残高+実際に受け取る予定の「手取りの利息分」が預貯金の相続税評価額になります

金利が低い「普通預金」系の預貯金に関しては、以下の計算式で預貯金の相続税評価額を計算することになります。

普通預金系の預貯金の相続税評価額

相続税評価額=預金の残高

金利が非常に低率の場合、「金利の受取予定額まで考慮しなくてもよいよ!」というのが、上記の計算式の意味になります。

生命保険契約に関する権利の相続税評価額

生命保険契約に関する権利とは、亡くなった人(被相続人)が保険料を支払っていて保険の対象者(保険契約の被保険者)が相続人である場合の生命保険契約のことです。

例えば、親が子供を生命保険の対象として生命保険契約を結び、親が保険料の支払いをしていた生命保険契約になります。

親が生命保険料を支払っているので、親が死んでしまった場合、この生命保険契約は相続税の課税対象になります

生命保険契約に関する権利の相続税評価額は相続開始時に解約した場合の解約返戻金(かいやくへんれいきん)の金額になります。

注意して頂きたいのは、親が自分を生命保険の対象として生命保険契約を結び、親が保険料を支払っている場合の生命保険契約は、生命保険契約に関する権利には該当しません

こちらに関しては、みなし相続財産になり、親の死亡に伴う保険金受取予定額が相続税の課税対象になりますが、500万円×法定相続人の数まで非課税になります。