マネーストック統計とは
マネーストックとは、個人、法人(金融機関を除く)、地方公共団体(中央政府を除く)が保有する通貨量の残高を集計したものです。
簡単に言い換えると、銀行から個人や法人などに流通させているお金の総量となります。
なお、マネーストックでは、お金の定義に当てはまらない株式は含みません。
マネーストック統計は、月次で集計されており、対象月の翌月第7営業日(3月と9月分のみ第9営業日)に速報が公表され、対象月の翌々月第7営業日(2月と8月分のみ第9営業日)に確報が日本銀行のホームページに公表されます。
マネーストック統計の見方
マネーストック統計は、対象とする通貨の範囲に応じて、M1、M2、M3、広義流動性という4つの指標があります。
これらの指標の定義は、次の通りです。
なお、日本銀行ではM2の指標を重視していますので、難しければM2の内容だけ理解してください。
M1=現金+普通預金等(全預金取扱機関が対象)
⇒最も容易に決済手段として用いることができる現金と預金で構成されています。
M2=現金+普通預金等(発行者は国内銀行に限定)+定期預金等(発行者は国内銀行に限定)+譲渡性預金(発行者は国内銀行に限定)
⇒現金に、国内銀行に限定された預金等を加えた残高です。なお、譲渡性預金とは、銀行が取り扱う、他人に譲渡可能な定期預金のことです。
M3=現金+普通預金等(全預金取扱機関が対象)+定期預金等(全預金取扱機関が対象)+譲渡性預金(全預金取扱機関が対象)
⇒M1に、全預金取扱機関の定期預金と譲渡性預金を加えた残高です。
広義流動性=M3+投資信託+国債+外国債券等
現在のマネーストックの推移と影響について
マネーストック統計のM2はアベノミクス直後の2013年4月時点では、840兆円程度でしたが、2023年時点では1200兆円強です。
これは、日本銀行が行った量的質的な金融緩和の影響とコロナ渦での預金の積み立ての影響が強いです。
特に2013年以降は、アベノミクスの影響もあり、個人や法人が銀行からお金を借りやすくするための政策が多くなっており、それを契機にマナーストックも多くなってきています。
一般的にマネーストックが増えるということは、金融機関が企業の設備投資や個人の住宅購入などの大型の消費が多く行われるだろうと予測して、お金の貸し出しを多くしているということです。
つまり、マネーストックが増えると景気はよくなっていると考えられます。
逆に、今後マネーストックが減る事態があれば、設備投資をしようという企業や家を建てようという個人は少なくなっているということであり、景気が悪くなっていると判断できます。
また、マネーストックは金利や物価にも大きな影響があります。
マネーストックが増加し、お金に余裕が出てくると、お金を貸したいという人が多くなり、金利が下がる傾向にあります。
金利が下がれば、借入をして物やサービスを買う需要が増えるので、物価が上がる傾向になります。
なお、上記は、あくまで一般的な話しで実際の経済は複雑怪奇なのでどうなるかは分かりませんが、将来を予想するうえでも、マネーストックの推移は重要な指標になります。
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