自分の不動産投資経験と税理士として関わったクライアントの状況を踏まえて、不動産投資初心者のためのマニュアルを作成しようと思いました。
不動産業に携わるようになって約15年が経ち、自分以外の税務クライアントの事例もたくさん見てきているので、かなり実務的なマニュアルになると思います。
今回は、第5回目で個人事業主が不動産投資で必要になるシステム(ソフト)について説明していきます。
必要になるシステムについて
個人事業主が不動産投資で必要になるシステムは、以下の3つだけです。
- 業務管理システム(レインズ・ATBBなど)
- 会計システム(やよいの青白申告など)
- 税務システム(国税庁の確定申告書作成コーナーなど)
業務管理システムについて
レインズやATBB(at home)などの業務管理システムは、不動産会社間で物件の融通をしているシステムで、募集図面や賃貸物件の詳細を記載して、広くインターネットで賃借人を募集するシステムです。
不動産会社しか利用できず、賃貸人である不動産投資家が個人で使用することはできません。
よって、賃貸人である個人投資家が、賃借人を募集する場合、必ず、不動産会社と媒介契約を結ぶことになります。
不動産会社と媒介契約を結ぶことにより、不動産会社がレインズやATBBに賃貸人の物件情報を登録してくれ、そこから申し込みがあり、賃貸借契約に繋がる流れになります。
なお、賃借人が決まった場合、賃貸人は媒介をしてくれた不動産会社に報酬を家賃の1か月分+消費税払うことが多いです。
また、賃借人側の媒介をした不動産会社にもAD(広告宣伝費)の名目で家賃の半月分~2か月分+消費税の報酬を払うことも多いです。
AD(広告宣伝費)に関しては、0円に設定しても良いのですが、人気のない賃貸物件だとなかなか借主が見つからず、空室期間の長期化による機会損失が生じる可能性がありますので、物件ごとに設定することになります。
なお、賃貸人と賃借人が両方で支払う不動産会社の仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法で賃料額の1か月分+消費税と定められていますが、上記の賃貸人への報酬とAD(広告宣伝費)は、実務上、この仲介手数料と別枠だと考えてください。
会計システムについて
会計システムは、日々の取引を仕訳の形で記帳し、それを集積するために必要になるシステムです。
エクセルで代用している個人投資家の方もいますが、間違いが多くなるので、会計システムは必ず導入した方が良いです(1年間の使用料が1万円程度なので…)。
会計システムは、年々性能が良くなってきており、有名どころであれば、どのメーカーの会計システムを利用しても、正直、使用感・値段について大きな大差はありません。
もし、どの会計システムを導入するか迷ったら、個人的には、やよいの青色申告を使用することをお勧めします。
理由としては、もし不動産投資の規模が大きくなり会計業務を会計事務所に委託しようと思ったときに、やよいの青色申告であれば、どこの事務所も対応しているからです。
やよいの青色申告は弥生株式会社からリリースされており、どこの税理士事務所でも確実に利用されています。
つまり、バックアップデータを持っていけば、業務委託契約締結時に税理士事務所側で簡単に過年度の情報や初期設定が引き継げるため、業務委託に対する値段交渉がしやすくなります。
税務システムについて
税務システムは、会計システムで記帳し、集積したデータをもとに、所得税の確定申告書を作成するためのシステムです。
導入した会計システムによっては、税務システムを一部兼ねているものもありますが、国税庁のホームページの中にある「確定申告書作成コーナー」を利用する方が間違いが少なくなり良いかと思います。
「確定申告書作成コーナー」は、無料で誰でも利用できます。
インターネットのYahooやGoogle検索で、「確定申告 国税庁」と入力すれば、国税庁の「確定申告書作成コーナー」に簡単にアクセスでき、無料で利用できます。
「確定申告書作成コーナー」は、基本的に質問に回答するだけで所得税の確定申告書が作成でき、初心者に分かりやすい作りになっています。
どうしても会計システムの中にある税務システムを利用したい場合は、会計システムと税務システムの紐づけがきちんと出来ているか確認してください。紐づけが初期設定のままで間違った方向に処理が継続されていて、目も当てられぬ金額の間違いをしている事例は結構頻繁に見られます。あなたが決算書の損益計算書や貸借対照表の数値を確認して、理解できるレベルになければ、会計システムで作成したデータを元に確定申告書作成コーナーで申告書を作成する方が安全です。
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