個人で事業を営んでいる人が収入を得た場合、必ず確定申告を行わなければなりません。
この確定申告の方法ですが、実は、青色申告と白色申告の2つの方法があります。
今回は、所得税の確定申告の青色申告と白色申告の違いと青色申告のメリットについてまとめていきます。
青色申告と白色申告の違い
青色申告は、所得税を計算するための確定申告の方法の1つです。
確定申告を行うためには、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得金額を計算するために、収入金額と必要経費を把握することが必要になります。
この収入金額と必要経費を正確に把握するために、①領収書や請求書などの書類の保管を行い、そこから②日々の取引状況を記録した複式簿記の帳簿付けを行うことで青色申告が認められることになります。
青色申告を行うためには、書類の整理・保管と複式簿記の帳簿を作成する手間がかかるため、ご褒美として納税者の税金額が少なくなるようなメリットが与えられます。
なお、確定申告には、青色申告とは別に白色申告という方法もあります。
白色申告と青色申告の最大の違いは、日々の取引状況を記録した複式簿記の帳簿付けを行うかどうかです(書類の保管は青色でも白色でも7年間必要です!)。
簡単に言うと、白色申告の場合、複式簿記の知識がいらず、家計簿をつける感覚で収入金額と必要経費を把握すれば十分ということになります。
ただし、昨今では弥生会計やfreeeなどの会計ソフトの発達により、青色申告を行うのも白色申告を行うのも苦労はほとんど変わりません。
よって、白色申告を選ぶよりは青色申告を選ぶ方が良いということになります。
青色申告のメリット
所得税の確定申告で青色申告を行うメリットは以下の通りです。
- 青色申告特別控除を受けられる
- 純損失の赤字を3年間繰り越せる
- 家族に給与を支払った場合に必要経費に算入できる
- 減価償却の特例を受けられる
- 貸倒引当金の計上が可能になる
青色申告特別控除を受けられる
事業所得の場合、税務署から青色申告の承認を受ければ、青色申告特別控除として55万円(E-tax利用の場合は65万円)が控除できます。
不動産所得の場合も、税務署から青色申告の承認を受ければ、青色申告特別控除として55万円(E-tax利用の場合は65万円)が控除できます。
ただし、不動産所得の場合には、事業的規模(5棟10室基準)かどうかが重要になり、事業的規模に該当しない場合は、青色申告特別控除が10万円に減額されてしまいます。
例えば、賃貸アパートを6室しか保有していなかった場合は、不動産所得を事業的規模で営んでおらず、青色申告特別控除が10万円になります。
純損失の赤字を3年間繰り越せる
青色申告であれば、純損失(赤字)が生じた場合、翌年以降3年間、各年の所得から控除できます。
家族に給与を支払った場合に必要経費に算入できる
青色申告の場合、配偶者や家族に支払った給与は、労務の対価として相当な金額ならば、金額制限なしに必要経費に算入出来ます。
なお、白色申告でも、配偶者の給与で86万円、家族の給与で50万円までなら必要経費に算入出来ますが、やはり青色申告の必要経費算入額に比べて圧倒的に少額になってしまいます。
減価償却の特例を受けられる
白色申告の場合、事業で使用するパソコンや車などの固定資産で、10万円以上の物は、使用できる期間に則して減価償却をしなければなりません。
例えば、15万円(税込み)で購入したパソコンは、法定耐用年数が4年なので、毎年3.75万円(15万÷4年)ずつが減価償却として必要経費になります。
しかし、青色申告の場合は、30万円未満の固定資産であれば一括で全額経費に算入することが可能です。
つまり、上記のパソコンであれば、購入して使い始めた年度に一括の15万円を必要経費に算入することが出来ます。
貸倒引当金の計上が可能になる
事業所得がある青色申告者は、貸倒引当金というものを必要経費として計上することができます。
貸倒れとは、取引先が倒産した場合などに、債権を回収できなくなることです。
事業所得がある青色申告者は、貸倒れによるリスクに備えて、一定の率により計算した見積額をあらかじめ必要経費として計上することができます。
青色申告は税務署への申請が必要
青色申告を開始するには、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
この「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限ですが、新規開業とすでに営業をしている場合で異なります。
【新規開業の場合】
1月1日~1月15日の間に新規開業をした場合、「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限は、、3月15日までです。
また、1月16日以降に新規開業をした場合は、「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限は、業務を開始して2か月以内です。
【すでに営業をしている場合】
すでに営業を開始しており、今年から青色申告者になりたい場合は、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出しなければなりません。
コメント