一言で、株式といっても、実は、普通株式、優先株式、劣後株式といったいくつかの種類があります。
今回は、株式の種類(普通株、優先株、劣後株)についてみていきましょう。
株式とは
株式とは、株式会社が資金の出資者に対して発行する証券のことです。
株式の発行は、会社が事業資金を得るための手段の一つです。
例えば、会社が新製品を作るための工場を新しく建設する、既存の業態とは別の新規事業を始める場合など、まとまった資金が必要な時に株式の発行は行われます。
株式を発行して得た資金は、銀行借入や社債の発行から得た資金とは異なり、返済の義務はありません。
株主(出資者)は出資金が返却されないかわりに、保有株式の割合に応じて経営に参加でき、利益が出た場合には、配当ももらえます。
また、株式を売却することにより利益を得られる可能性もあります。
普通株式とは
普通株式とは、株主の権利に制限がない株式です。
証券取引所などで、皆様が売買しているのは、この普通株式です。
優先株式とは
株主は基本的には、平等に扱わなければなりません。
しかし、会社は一定の事項について異なる定めをした種類株式を発行することができます。
なお、種類株式を発行するためには、定款記載事項であるため、株主総会の特別決議が必要になります。
株主総会の特別決議とは、特に重要な事項を決定する場合に必要とされる決議で、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を必要とする決議です。
一定の事項について異なる定めをした種類株式には以下のような種類があります。
- 剰余金の配当規定付株式
- 残余財産の分配規定付株式
- 譲渡制限株式
- 拒否権付株式
- 議決権制限株式
- 取得請求権付株式
- 取得条項付株式
- 全部取得条項付株式
- 役員選任権付株式
優先株式とは、剰余金の配当や残余財産の分配について異なる定めをした種類株式の一種です。
つまり、剰余金の配当・残余財産の分配に優先的な条件が付される種類株式が優先株式となります。
劣後株式とは
劣後株式は、普通株式よりも剰余金の配当や残余財産の分配について優先順位が後になる株式です。
優先株式と同じように種類株式の一種ですが、優先株式の反対で優先順位が後になるので、投資家にとっては不利な株式となります。
劣後株式は、配当や残余財産がもらえなくなる可能性があり、一般の投資家にとってはメリットが全くありません。
よって、証券取引所などで扱われることはなく、一般投資家が売買する機会もほぼありません。
では、どんな時に劣後株が発行されるかというと、①新株発行時に旧株の配当を低下させないため、あるいは、②既存株主の利益を損なわずに資金調達を行いたい場合などになります。
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