雇用保険は一般的には失業保険と呼ばれており、会社を辞めた後の求職活動中に最低限のお金を貰える制度だと認知されています。
しかし、雇用保険は失業保険としての役割以外に多岐にわたる給付があります。
今回は、雇用保険の概要を確認していきましょう。
雇用保険の仕組みについて
雇用保険の運営を行っているのは政府であり、会社が会社負担分と従業員負担分を集めて保険料を支払っています。
そして、雇用保険から給付を受ける場合、その窓口はハローワーク(公共職業安定所)になります。
雇用保険の給付内容は主に4つ
雇用保険の給付対象は多岐にわたりますが、主な給付内容は以下の4つになります。
基本手当(失業給付)
基本手当(失業給付)は、求職活動中の失業者の生活を支えるために給付されるものです。
受給を受けられるのは、離職日の日以前2年間に通算して12カ月以上の間雇用保険に加入していた人です。
ただし、会社の倒産や解雇の場合、離職日以前1年間に雇用保険に通算して6カ月以上加入していた人も失業給付を受けることができます。
失業保険の支給額は退職した会社が支払っていた金額の50%~80%の金額になります。
また支給日数に関しても、①離職理由、②年齢、③被保険者であった期間により異なります。
例えば、自己都合退職の場合、1年以上10年未満であれば90日、10年以上20年未満であれば120日、20年以上であれば150日の支給日数となります。
育児休業給付
育児休業給付は育児休業を取得する雇用保険加入者の生活を支えるための給付です。
育児休業給付は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%(ただし、育児休業の開始から181日目以降は50%)により計算されます。
正確な金額については、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」で計算しますが、大体の支給金額は以下の通りになります。
・月額15万円→育児休業開始から180日目までは月額10万円程度、181日目以降は月額7.5万円程度
・月額20万円→育児休業開始から180日目までは月額13.4万円程度、181日目以降は月額10万円程度
・月額30万円→育児休業開始から180日目までは月額20.1万円程度、181日目以降は月額15万円程度
教育訓練給付
教育訓練給付とは、労働者の主体的な能力開発やキャリア形成を援助するための給付で、厚生労働省が指定する講座を受講し、終了した際に、受講費用の一部が支給されます。
給付金の対象となる教育訓練は、レベルに応じて、①専門実践教育訓練、②特定一般教育訓練、③一般教育訓練の3種類があります。
専門実践教育訓練
専門実践教育訓練は労働者の中長期的なキャリア形成のための教育訓練制度です。
教育訓練施設に支払った受講費用の50%(年間上限40万円)が支給されます。
さらに資格取得をして就職に結びついた場合、受講費用の20%(上限16万円)が追加で支給されます。
特定一般教育訓練
特定一般教育訓練は、労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成のための教育訓練制度です。
教育訓練施設に支払った受講費用の40%(年間上限20万円)が支給されます。
一般教育訓練
一般教育訓練は雇用の安定・就職の促進のための教育訓練制度になります。
教育訓練施設に支払った受講費用の20%(上限10万円)が訓練終了後に支給されます。
雇用継続給付
雇用継続給付は、①高年齢雇用継続給付と②介護休業給付に分かれており、高年齢者や家族を介護する人の職業生活を維持するための給付です。
高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付は、60歳以降も働き続ける人の賃金が60歳到達時の賃金の75%未満に低下した場合に支給される給付です(65歳の誕生日を迎える月まで支給されます)。
例えば、60歳の賃金が月額30万円で、60歳以後の賃金が18万円に下落した場合、賃金18万円の15%に相当する2万7千円が高年齢雇用継続給付として支給されます。
介護休業給付
介護休業給付は、介護の必要がある家族のために休業する従業員に対する給付です。
支給対象となる同じ家族について93日を限度として3回まで支給されます。
支給額は、休業開始時の賃金日額×67%となります。
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