日銀短観とは
日銀短観(全国企業短期経済観測調査)とは、日本銀行が、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的として行う統計調査です。
日銀短観では、全国の資本金2千万円以上の民間企業から約1万社を抽出し、事前に調査協力の承諾を得られた企業のみを対象として3月、6月、9月、12月の各四半期ごとに調査を行い、その調査結果を4月初め、7月初め、10月初め、12月中旬に日本銀行のホームページで公表しています。
調査項目としては、企業が自社の業況や経済環境の現状・先行きについてどう見ているかを問う項目に加え、売上高や収益、設備投資額といった事業計画の実績・予測値など、企業活動全般にわたる項目に及びます。
日銀短観は速報性が高く、市場参加者の注目度が高い経済指標となっています。
また、国内外で広く利用されており、海外でも”TANKAN”の名称で知られています。
なお、日銀短観は調査対象企業からの回答を集計して公表したものであり、日本銀行の景気判断や予測を示したものではありませんが、日本銀行が金融政策を決める際の判断材料の一つになっています。
- 日銀短観とは、主要企業を対象とした景気動向に関する調査を集計したもの
- 3月、6月、9月、12月に実施され、4月、7月、10月、12月公表される
日銀短観の見方
日銀短観には、業況等の現状・先行きに関する判断項目や、事業計画に関する実績・予測(計数項目)など、企業活動全般に関する調査項目があります。
その調査項目の中で最も注目度が高い項目が業況判断DIになります。
業況判断DIは、調査対象の企業が、最近と先行きの業況について、「良い」「さほど良くない」「悪い」の三つの選択肢から回答する形式になっています。
回答結果は、「良い」「さほど良くない」「悪い」の選択肢ごとの回答社数を単純集計し、割合にして公表されます。
例えば、回答割合がそれぞれ、「良い」30%、「さほど良くない」50%、「悪い」20%であった場合、30%-20%=10%になり、割合がプラスになっているので、景気は良いと判断されます。
逆に、回答割合がそれぞれ、「良い」10%、「さほど良くない」60%、「悪い」30%であった場合、10%-30%=△20%になり、割合がマイナスになっているので、景気は悪いと判断されます。
【参考:第202回全国企業短期経済観測調査(2024年9月)日本銀行調査統計局より】
企業活動は経営者の経営判断に基づいて行われるため、経営者が業況をどう判断しているかはその後の企業活動だけでなく、当然に、株式や為替、債券など金融市場にも大きな影響を与えます。
よって、業況判断DIは過去の景気循環(景気の山谷)にほぼ沿った動きをしており、 景気の実態・先行きを占ううえで重要な指標として広く活用されています。
日銀短観は長期にわたるデータが蓄積されていますので、その時々の景気実態や企業活動について、過去の類似局面と比較するなど、目的に応じた分析をすることが可能になります。
- 日銀短観では業績判断DIが重要になる!
- 業況判断DIの企業の回答について、「良い」-「悪い」がプラスかマイナスかで景気の実態と先行きが判断される!
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