贈与契約の種類・取消しについて

贈与契約とは

贈与をしようとする人(以下、贈与者)が、贈与を受け入れる人(以下、受贈者)に財産を無償で与えるという意思表示をし、それを受贈者が受け入れることで贈与契約は成立します。

贈与契約は書面での意思表示のみならず、口頭での意思表示でも認められます。

贈与の種類について

贈与の種類には、以下の3つがあります。

  • 定期贈与
  • 負担付贈与
  • 死因贈与

定期贈与

定期贈与とは、1年に1度など定期的に贈与を行うことです。

なお、定期贈与契約の場合、毎年の贈与金額ではなく、贈与した金額の「合計」が、贈与税の課税対象になる可能性があるため注意が必要です。

例えば、10年間連続で100万円(合計で1,000万)を毎年6月20日に渡すという贈与契約をしたとします。

しかし、実際は贈与契約をした年に1,000万円の贈与を受けたとみなされ、贈与税が課税される可能性があります。

負担付贈与

負担付贈与とは、贈与者が受贈者に一定の債務を負担させる代わりに、贈与者の財産を贈与するという契約です。

例えば、住宅ローンの残債2,000万円を受贈者が負担する代わりに、贈与者の土地・建物5,000万円を贈与しようという契約です。

死因贈与

死因贈与とは、贈与者の死亡時に贈与契約が発生するという贈与契約です。

例えば、「私が死んだらこの家をあげる!」「もらった!」という贈与契約です。

なお、死因贈与には注意点が2つあります。

1つ目は、死因贈与という名前ですが、相続税の課税対象になることです。

贈与税の課税対象ではないので注意が必要です。

2つ目は、遺贈(いぞう)との区別が必要な点です。

死因贈与は、あくまで贈与契約なので、贈与者の「あげる」という意思表示にプラスして受贈者の「もらう」という意思表示が必要になります。

一方、遺贈は贈与者の「あげる」という一方的な意思表示で成り立ちます

贈与契約の取消し

一度結んでしまった贈与契約でも取り消すことはできます

取消方法は、口頭の場合の贈与書面の場合の贈与で異なります

口頭の場合の贈与の取消し

口頭での贈与の場合、贈与者が受贈者に贈与物をあげた時に効力が発生します

よって、贈与物をあげるまでは、贈与者も受贈者も贈与契約をいつでも取り消すことができます

ただし、贈与物をあげてしまうと贈与者も受贈者も贈与契約を取り消すことができなくなります。

書面の場合の贈与の取消し

書面での贈与の場合、書面で贈与契約を結んだ段階から贈与契約を取り消すことはできません。

書面で贈与契約を結んだ瞬間に、契約の効力が発生したと考えられるからです。