贈与契約とは
贈与契約は、贈与をしようとする人(以下、贈与者)が、贈与を受け入れる人(以下、受贈者)に一定の財産を無償で与えるという意思表示をし、それを受贈者が受け入れることで成立します。
つまり、贈与契約は、贈与者の「与える」という意思表示だけでなく、受贈者の「貰う」という意思表示も必要になります。
贈与者の与えるという意思表示だけでも成立しそうですが、受贈者にとってガラクタを贈与される可能性もあるため、受贈者の意思表示も大切になります。
なお、贈与契約は書面での意思表示のみならず、口頭での意思表示でも認められます。
贈与契約書を作成することはトラブル回避のためには大切ですが、仮に贈与契約書がなくても口頭の意思表示で贈与契約は成り立つことに注意しましょう!
贈与の種類について
贈与の種類には、以下の4つがあります。
- 単純贈与
- 定期贈与
- 負担付贈与
- 死因贈与
単純贈与
単純贈与とは、贈与者と受贈者の意思表示だけで成立する一般的な贈与契約のことです。
贈与税の基礎控除110万円を利用して、相続税の節税対策をする際に利用される生前贈与も単純贈与の一種です。
毎年110万円までの贈与に対しては贈与税は課税されません。例えば、被相続人(亡くなる予定の人)の現預金110万円を相続人(受け継ぐ予定の人)に贈与すると、相続財産が110万円減少するため、贈与税が無税で相続税の節税対策が出来たことになります。
定期贈与
定期贈与とは、1年に1度など定期的に贈与を行うことです。
なお、定期贈与契約の場合、毎年の贈与金額ではなく、贈与した金額の「合計」が、贈与税の課税対象になります。
例えば、10年間連続で100万円(合計で1,000万)を毎年6月20日に渡すという贈与契約をしたとします。
その場合、贈与契約をした年に1,000万円の贈与を受けたとみなされ、贈与税が課税されます。
単純贈与で説明した相続税の基礎控除110万円を利用した節税対策ですが、「当初より」毎年110万円ずつ毎年贈与する契約だったと税務署に認定されれば、定期贈与となり贈与税額全体に対して贈与税が課税されてしまいます。税務署に定期贈与と認定されないためには、①毎年贈与する度に贈与契約書を作る、②毎年贈与日を変えるなどの対策を取り、毎年の贈与が最初から定めらたものでないことをはっきり区別できるようにしておきましょう。
負担付贈与
負担付贈与とは、贈与者が受贈者に一定の債務を負担させる代わりに、贈与者の財産を贈与するという契約です。
なお、「贈与された財産価額-受贈者が負担した額」が受贈者に対する贈与税の課税対象になります。
例えば、住宅ローンの残債2,000万円を受贈者が負担する代わりに、贈与者の土地・建物5,000万円を贈与しようという契約が負担付贈与契約になります。
なお、この場合の贈与税の課税対象は、5,000万円-2,000万円=3,000万円になります。
死因贈与
死因贈与とは、贈与者の死亡時に贈与契約が発生するという贈与契約です。
例えば、「私が死んだらこの家をあげる!」「もらった!」という贈与契約です。
なお、死因贈与には注意点が2つあります。
1つ目は、死因贈与という名前ですが、相続税の課税対象になることです。
贈与税の課税対象ではないので注意が必要です。
2つ目は、遺贈(いぞう)との区別が必要な点です。
死因贈与は、あくまで贈与契約なので、贈与者の「あげる」という意思表示にプラスして、受贈者の「もらう」という意思表示が必要になります。
一方、遺贈(いぞう)は、贈与者の「あげる」という一方的な意思表示で成り立ちます。
贈与契約の取消し
一度結んでしまった贈与契約でも取り消すことはできます。
贈与契約の取消方法は、口頭の場合の贈与と書面の場合の贈与で異なります。
口頭の場合の贈与の取消し
口頭での贈与の場合、贈与者が受贈者に贈与物をあげた時に効力が発生します。
よって、贈与物をあげるまでは、贈与者も受贈者も贈与契約をいつでも取り消すことができます。
ただし、贈与物をあげてしまうと贈与者も受贈者も贈与契約を取り消すことができなくなります。
書面の場合の贈与の取消し
書面での贈与の場合、書面で贈与契約を結んだ段階から贈与契約を取り消すことはできません。
書面で贈与契約を結んだ瞬間に、契約の効力が発生したと考えられるからです。
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