相続税は、決められた期限までに決められた方法で支払うことが非常に重要になります。
今回は、相続税の申告・納付期限と納付方法(延納・物納含む)についてみていきましょう。
相続税申告書の提出期限
相続税の申告書は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、亡くなった人(被相続人)の死亡時の住所を管轄する税務署に提出する必要があります。
相続税の申告書は、最寄りの税務署で貰えるほか、国税庁のHPからダウンロードできます。
入手した相続税の申告書に必要事項を記載していくことで申告書は作成できます。
ただし、相続税の申告書の提出時には、申告書だけでなく、評価証明書(土地や株式がある場合)や添付書類(戸籍に関する書類、財産・債務に関する書類、遺産分割に関する書類)も一緒に提出しなければなりません。
特に、添付書類を入手するためには、亡くなった人から引き継ぐ人への財産の変更手続き(例:土地の相続登記)などを事前に行う必要があり、時間がかかることが多いです。
必要な添付書類の入手先、入手にかかる日数などを把握して、早めに手続きを開始しましょう。
なお、相続放棄をするときは、相続の開始を知った日の翌日から3か月以内に家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。
相続税の申告期限よりもかなり早い段階で、相続をするか放棄するかを選ぶことになりますので注意が必要です。
また、相続税の申告書は、相続財産が一定の限度額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えない限り提出する必要がありません。
例えば、亡くなった人(被相続人)に妻と子供が2名いた場合、法定相続人の数は3名になるため、3,000万円+600万円×3名=4,800万円を超えない限り、相続税の申告書を税務署に提出する必要はありません。
ただし、相続財産が一定額を超えていなくても、小規模宅地等の特例(土地の80%減額)や配偶者の税額軽減の特例(1億6000万円の軽減)を受ける場合には、原則として相続税の申告書を税務署に提出しなければいけません。
相続税の納付期限
相続税の納付期限は、相続税の申告書の提出期限と同じで、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内となります。
なお、一般的には、相続税の申告書を提出してから納付を行うことが多いのですが、相続税の納付を先にして、その後申告書を提出しても大きな問題はありません。
相続税の納付は原則、金銭による一括納付です。
相続税の具体的な納付方法は以下のようになります。
- 税務署や金融機関の窓口で支払う
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専用の納付書を利用して税務署で現金納付できます。
専用の納付書を税務署で貰って、記載後、金融機関(銀行・信用金庫・郵便局)に行けば、現金又は預貯金口座から納付できます。
- コンビニで支払う
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相続税の納付金額が30万円以下ならば、専用の納付書を税務署で貰って、記載後、コンビニで現金納付できます。
- クレジットカードで支払う
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国税クレジットカードお支払いサイトのHPより納付することができます。
ただし、決済手数料は納税者が負担することになります。
- 電子納税で支払う
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e-Taxを利用して相続税の申告をしているならば、ダイレクト納付やインタネットバンキング納付(ペイジー)を利用できます。
ただし、現金による一括納付が出来ない場合、一定の要件のもと、延納(えんのう)や物納(ぶつのう)が認められます。
延納や物納とは、金銭の支払いを一時的に待ってくれたり(延納)、相続財産が不動産などだけで、金銭による納付が見込めない時に、金銭に代わる物で納付ができたり(物納)する制度のことです。
延納(えんのう)とは
延納とは、相続税の納付期限を延ばしてもらう制度のことです。
延納を行うための条件は以下の通りです。
- 金銭による相続税の一括納付が困難なこと
- 納付すべき相続税額が10万円超
- 延納申請書を提出して許可を受けていること
- 担保の提供ができること
物納(ぶつのう)とは
物納とは、相続税の納付を不動産などの金銭以外で行う制度のことです。
物納を行うための条件は以下の通りです。
- 金銭による一括納付が困難で、延納を適用しても金銭の納付が困難なこと
- 相続税の納付期限までに物納申請書を提出し、許可を受けていること
- 物納する財産は、相続・遺贈によって取得した財産のみ(なお、抵当権が設定されている財産は物納できない)
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