都市計画法とは、都市や市街地の計画的な街づくりを行うために制定された法律です。
都市計画法は、都市や市街地の持続的な発展や、住民の福祉を促進することを目的として、都市計画の基本的な原則や手続き、規制などを定めています。
具体的には、都市計画の基本計画や地区計画の策定手続き、用途地域の指定、建築物を建てるために行う土地の造成の許可制度(開発許可制度)などを規定しています。
今回は、都市計画法の重要分野である、都市計画区域、用途地域、開発許可制度について解説していきます。
都市計画区域
日本の国土は都市計画区域と都市計画区域外に分けられます。
都市計画区域とは、都市計画法に基づいて、都市や市街地を整備・開発するために、地方自治体が設定した区域のことです。
都市計画区域には、用途地域が指定され、その地域に応じた建築物の高さや容積率、建築物の用途などが規定されます。
都市計画区域においては、基本計画に基づき、地区計画が策定され、その計画に基づき、道路や公園などの公共施設の整備や、建築物の建設や改築が行われます。
なお、都市計画区域はさらに、以下の3つに区分けされます。
- 市街化区域
- 市街化調整区域
- 非線引区域
市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及び、概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です。
市街化調整区域は市街化を抑制すべきものとして指定されている区域です。
非線引区域は、市街化区域と市街化調整区域の区別がされていない区域です。
用途地域
用途地域とは、主に「市街化区域内に定められる地域」で、市街地全体の土地利用の基本的枠組みを設定する地域のことです。
用途地域には、住宅地域(8種類)、商業地域(2種類)、工業地域(3種類)があり、それぞれの地域に応じて、建築物の用途や建築物の高さ、建蔽率、容積率が規制されます。
住宅地域では、主に住宅が建てられることが想定され、商業地域では商業施設やオフィスが建てられることが想定され、工業地域では工場や倉庫が建てられることが想定されます。
なお、用途地域の詳細を記載すると以下のようになります。
用途地域 | 簡単な説明 |
---|---|
第一種低層住居専用地域 | 低層住居保護(強) |
第二種低層住居専用地域 | 低層住居保護(中) |
田園住居地域 | 農業の利便性+低層住居保護(弱) |
第一種中高層住居専用地域 | 中高層住居保護(強) |
第二種中高層住居専用地域 | 中高層住居保護(中) |
第一種住居地域 | 住居の環境保護(強) |
第二種住居地域 | 住居の環境保護(中) |
準住居地域 | 住居の環境保護(弱) |
近接商業地域 | 商業利便性増進(中) |
商業地域 | 商業利便性増進(強) |
準工業地域 | 工業利便性増進(弱) |
工業地域 | 工業利便性増進(中) |
工業専用地域 | 工業利便性増進(強) |
用途地域によって、建てられる建物に規制がかかります。例えば、第一種低層住居専用地域では、閑静な住環境を実現するためにカラオケボックスなどは建てられません。
用途地域は、インターネットで調べることができます。インターネットの検索ページで「調べたい市区町村名 用途地域」と検索してみましょう。大体の場合は、検索結果の一番上に表示されます。
開発許可制度
開発行為とは、建物を建設するために、区画の変更工事を行うことをいいます。
区画の変更工事には、主に以下の3つがあります。
- 道路や水路などの公共施設を新設する工事
- 土地の高さを変更するための切土や盛土の造成工事
- 農地、山林などを建物が建てられる敷地に変更する工事
都市計画区域内で建物を建設する為に開発行為(区画の変更工事)を行うには、原則として、都道府県知事の許可(開発許可)が必要になります。
ただし、以下の場合には都道府県知事の許可は不要になります。
- 市街化区域内で行う1,000㎡未満の開発行為
- 非線引区域で行う3,000㎡未満の開発行為
- 市街化調整区域で行う農林漁業用建築物を建設するための開発行為
- 公共的施設(鉄道施設など)や公共事業に係る開発行為
対して、都市計画区域外で1ヘクタール(10,000㎡)以上の開発行為をおこなう場合、都道府県知事の許可が必要です。
ただし、以下の場合には都道府県知事の許可は不要になります。
- 農林漁業用建築物を建設するための開発行為
- 公共的施設(鉄道施設など)や公共事業に係る開発行為
- 都市計画事業の施行として行う開発行為
- 公有水面埋立法の免許を受けた埋立地であって、まだ告示がないものにおいて行う開発行為
- 非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為
- 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
開発許可制度の趣旨は、都市の周辺部における無秩序な市街化を抑制することです。この趣旨を鑑みて、影響が少ない軽微な開発行為に関しては、都道府県知事の許可は不要になります!
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