土地・建物の譲渡所得とは?短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いを知ろう

譲渡所得とは

個人の税金について定めた所得税法では、所得を10種類に分けています。

そのうちのひとつが「譲渡所得」で、土地や建物などの資産を譲渡することによって発生する所得になります。

なお、所得とは、収入からその収入を得るために支出した必要経費を差し引いた残金のことです。

簡単に言えば、譲渡所得は、純粋に儲かった利益のことです。

また、土地・建物を譲渡した時の譲渡所得は、他の9つの所得とは分離して課税されます(分離課税制度といいます)。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得の算定式は以下のようになります。

譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

譲渡価額とは、土地・建物の売却金額の他に、固定資産税精算金も含めるため注意が必要です。

固定資産税精算金とは、売主が不動産売買に先立ってすでに支払っている固定資産税を、不動産売買契約に基づき買主との間で清算した時のお金のことです。

土地・建物の売買では、土地・建物の売買金額とともに、固定資産税精算金も、「買主」が「売主」に支払うことが慣例になっています。

取得費とは、売主が土地・建物の取得に要した金額+その後の設備増強に費やした金額-償却費相当額(土地の場合は0円)となります。

なお、取得費が不明な場合は、譲渡価額の5%を取得費とすることもできます(「できる」であって、「しなければならない」ではないので注意!)。

譲渡費用とは、資産譲渡に直接要した経費で、①不動産会社に対する仲介手数料や②売主が負担した建物取り壊し費用などが含まれます。

なお、固定資産税や修繕費は譲渡費用には含めず、不動産所得の必要経費になりますので注意が必要です。

短期譲渡所得と長期譲渡所得

譲渡所得に「一定の税率」を掛けることで譲渡所得に対する税額が計算できます。

なお、土地・建物の所有期間により譲渡所得は短期譲渡所得長期譲渡所得に区分され、「一定の税率」が両者で大きく異なることになります。

短期譲渡所得の税率は所得税率15.315%、住民税5%の合計20.315%となり、長期譲渡所得の税率は所得税率30.63%<、住民税9%の合計39.63%となります。

なお、短期譲渡所得とは、「譲渡した年」の1月1日時点における所有期間が5年以下の場合で、長期譲渡所得とは、「譲渡した年」の1月1日における所有期間が5年超の場合です。

注意が必要なのは、譲渡日で短期か長期かを区別するのではなく譲渡した年の1月1日時点で短期か長期かを区別するということです。

例えば、2025年12月10日に購入した土地を2030年12月15日に売却した場合、譲渡日である2030年12月15日では5年超経過していますが、譲渡した年の1月1日時点(つまり2030年1月1日時点)では5年超経過していないので、長期譲渡所得ではなく短期譲渡所得と判断されることになります。