日本では国民皆保険が採用されているので、国民全員が毎月健康保険料や年金保険料を納付しています。
この納付された保険料は、所得税・住民税の計算上所得の金額から控除されます。(社会保険料控除といいます)。
今回は、社会保険料控除の制度内容・対象・適用方法についてみていきましょう。
社会保険料控除とは
社会保険料控除は、1年間(1月1日~12月31日)に支払った社会保険料の全額を所得の金額から控除できる制度です。
大雑把に言うと、1年間に支払った社会保険料全額を必要経費として、収入金額から差し引ける制度といえます。
なお、納税者本人の分だけではなく、配偶者や子供(同一生計が条件)の分の社会保険料を支払った場合も社会保険料控除の対象になります。
社会保険料控除の対象となる社会保険の種類
社会保険料控除の対象となる社会保険料の代表例は以下の通りになります。
- 国民健康保険(個人事業主の健康保険)
- 健康保険(会社員の健康保険の個人負担分)
- 国民年金(個人事業主の年金)
- 厚生年金(会社員の年金の個人負担分)
- 高齢者の医療保険(65歳以上)
- 介護保険料(40歳以上が納付する強制保険)
- 雇用保険(従業員負担分)
社会保険料控除の対象となる社会保険料のポイントは、以下の2つです。
1つ目のポイントは、自分の意思と関係なく支払う義務のある保険料は基本的に社会保険料控除の対象になるということです。
2つ目のポイントは、社会保険料控除の対象になるのは、自分が支払った保険料部分のみだということです。
例えば、会社員の健康保険の保険料や厚生年金の保険料は半分を会社が支払ってくれますが、会社の支払分に関しては社会保険料控除の対象になりません。
社会保険料控除の金額=税金が減額される金額ではない
社会保険料控除は、所得控除といわれる制度の1つです。
誤解が多い点ですが、社会保険料控除の金額=税金が減額される金額にはなりません。
社会保険料控除の金額×所得税の税率(所得金額によって5%~45%)の計算結果が、税金が減額される金額になります。
例えば、給料を年間600万円もらっている30代前半の会社員で、社会保険料を年間で40万円払っていた場合、税金が減額される金額は、40万円×20%(所得税の税率)=8万円になります。
社会保険料控除の適用方法について
社会保険料控除の適用方法は、①会社員と②会社員以外で異なります。
会社員の場合
所属している会社が12月頃に行う年末調整の手続きで社会保険料控除を適用してくれます。
よって、会社員の場合、基本的に社会保険料控除の適用を受けるための特別な手続きは必要ありません。
会社員以外の場合
確定申告を行うことで社会保険料控除の適用を受けることができます。
確定申告には添付書類が必要になる場合があります。
確定申告に必要になる保険料の支払額の添付書類(控除証明書といいます)は基本的に毎年10月頃に郵送で送られてきます。
例えば、国民年金の保険料の支払額の添付書類は10月頃に日本年金機構から送られてきます。
確定申告を行う時期は、翌年の2月16日~3月15日で、添付書類の郵送時期よりだいぶ後になりますが、送られてきた書類は失くさないようにきちんと保管しておきましょう。
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