個人で事業を営む人が知っておきたい事業所得について

個人で事業を営んでいる人(以下、個人事業主)が絶対に知らないといけない所得税の所得の種類が事業所得です。

事業所得の内容を知らないと、ペナルティーとして税金が増える可能性があるばかりではなく、節税対策も出来ません

そこで、今回は、個人事業主が知っておきたい事業所得の内容についてまとめます。

事業所得とは

所得税は、個人に納税義務がある最も大きな税金の一つなのですが、所得の種類に応じて10個の区分に分類します。

その区分の1つに事業所得がありますが、事業所得は「個人」で事業を営む人が稼いだ純粋なもうけの金額になります。

ただし、不動産貸付業(大家業)を営んでいる人のもうけは、事業所得ではなく不動産所得になりますので注意が必要です。

事業所得は以下の計算式で算定することができます。

事業所得の計算方法

事業所得の金額=総収入金額-必要経費

総収入金額とは

総収入金額とは、事業を行うことで稼いだ売上金額のことです。

ただし、商品として仕入れた物を自分で消費してしまった時の商品の値段や金銭以外の経済的利益を受けた時のその価額は、売上金額と同等のものとして、売上金額にプラスして総収入金額を計算することになります。

必要経費

必要経費とは、商品の仕入費用、人件費、減価償却費などの個人事業を行うために費やした経費のことです。

なお、商品の仕入費用は債務が確定した時に必要経費になります。

つまり、12月31日までに商品のお金を先に支払っていても、商品が届いてなければ、次の年の必要経費になりますし、逆に12月31日時点では、商品のお金を払っていなくても、商品自体が到着し、払う金額が確定していたのならば、その年の必要経費になります。

人件費についてですが、従業員などの他人に支払った人件費は基本的に全額必要経費に算入できます。

ただし、家族などの親族に支払う人件費は基本的に必要経費になりません

別途、税務署に家族に対していくら支払う予定ですという届出書を提出して初めて家族の人件費は必要経費として認められます(青色事業専従者給与といいます)。

減価償却費とは、高額で長期間使える事業用の機械などを購入した時に、取得価額を使用期間に応じて、徐々に必要経費に算入していく方法です。

具体的には、使用期間が1年超取得価額が10万円以上の固定資産を購入した時は減価償却を行わなければなりません。

減価償却の方法としては、定額法定率法という2つの方法がありますが、基本的に事業所得の減価償却の方法は定額法になります。

定額法は毎年一定金額を減価償却費として必要経費に計上していく方法です。

例えば、取得価額300万円の機械を購入し、使用期間が5年だった場合、300万円÷5年=60万円が1年の必要経費の算入金額になります。

なお、使用期間が1年超で取得価額が10万円を超える固定資産でも土地については減価償却を行いません

土地の価値は永久に一定なので、減価償却の概念にそぐわないという考え方に従っています。

節税対策の基本

事業所得は、総収入金額から必要経費を差し引くことで計算できることが分かりました。

ここで、個人事業主が節税対策を行うのならば、総収入金額を操作することはできないため、必要経費をいかに正確に計上していくかが大事になるということが分かります。

所得税の節税対策として、小規模企業共済、民間の保険、IDeCo(イデコ)に加入することなどが挙げられますが、これらはお金を払って節税対策をする方法になります。

つまり、お金を支払って節税はできますが、事業資金も無くなる対策なので、慎重に対策を行わなければなりません

まずは、必要経費を正確に記録していくことで、実は税金額を減少できる可能性が高いということを覚えておいてください。

なお、お金を支払ってできる節税対策については、以下の記事に記載していますので併せてご確認ください。