金利は、通常、資金の需要と供給のバランスを元に決定されます。
つまり、資金の需要が高い時(お金を借りたい人が多い時)は、金利が上がります。
逆に、資金の需要が低い時(お金を借りたい人が少ない時)は、金利が下がります。
そして、需要と供給のバランスを変動させる原因には、為替・物価・景気があります。
今回は、金利と為替・物価・景気の関係についてみていきましょう。
名目金利と実質金利について
まず、金利には名目金利と実質金利の2つがあります。
名目金利とは、物価上昇率(インフレ率)の調整を行っていない「表面上の」金利のことをいいます。
経済用語や日常生活で金利と呼ばれるものは、この名目金利を指すことになります。
実質金利とは、物価上昇率(インフレ率)を金利から排除した金利になります。
つまり、実質金利=名目金利-物価上昇率(インフレ率)となります。
金利と為替の関係
例えば、円安が進み、1ドル120円⇒150円になったとします。
この場合、ドルが円に対して強くなっているので、輸入品の価格が上昇します。
すると、国内の物価も当然上がり、資金需要が高くなり、金利が上がります。
逆に、円高が進み、1ドル120円⇒80円になったとします。
この場合、円がドルに対して強くなっているので、輸入品の価格は下落します。
すると、国内の物価は当然下がり、資金需要が低くなり、金利が下がります。
- 円安⇒輸入価格上昇⇒国内物価上昇⇒資金需要上昇⇒金利上昇
- 円高⇒輸入価格下落⇒国内物価下落⇒資金需要下落⇒金利下落
金利と物価の関係
例えば、10万円で購入できていた冷蔵庫が20万円に値上がりしたとします。
消費者の立場からすると、「今後もどんどん冷蔵庫の値段が上がっていくのではないか?」との懸念が生じます(インフレ懸念)。
そうすると、「今すぐお金を借りてでも冷蔵庫を購入したい!」という気持ちになります。
つまり、冷蔵庫を購入するための資金需要が高くなるので、金利が上がります。
逆に、10万円で購入できていた冷蔵庫が5万円に値下がりしたとします。
消費者の立場からすると、「今後もどんどん冷蔵庫の値段が下がっていくのではないか?」との懸念が生じます(デフレ懸念)。
そうすると、「お金を借りてまで冷蔵庫を買う必要はない!」という気持ちになります。
つまり、冷蔵庫を購入するための資金需要が低くなるため、金利が下がります。
- 国内物価上昇⇒インフレ懸念⇒資金需要上昇⇒金利上昇
- 国内物価下落⇒デフレ懸念⇒資金需要下落⇒金利下落
金利と景気の関係
好景気だと、消費者の購買意欲が増し、個人消費が拡大します。
そのため、企業は商品を多く生産し、設備投資が増加します。
よって、資金需要が高くなるため、金利が上がります。
逆に、不景気だと消費者の購買意欲が減少し、個人消費が縮小します。
そのため、企業は商品の生産を控え、設備投資が減少します。
よって、資金需要が低くなるため、金利が下がります。
- 好景気⇒企業の設備投資増⇒資金需要上昇⇒金利上昇
- 不景気⇒企業の設備投資減⇒資金需要下落⇒金利下落
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