宅地建物取引業法とは、不動産の売買や賃貸などの取引に関する法律です。
不動産取引は高額な金銭取引であり、消費者にとっては大きなリスクがあるため、適切な取引が行われるように、法律で規制されています。
宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者(会社)や宅地建物取引士(個人)などの登録や許可制度を設け、消費者の保護や業界の健全化を図っています。
具体的には、不動産の売買や賃貸において、重要事項説明書の提供や契約書の説明、契約金の管理などが義務付けられています。
また、宅地建物取引業者の不適切な取引行為に対しては、行政処分や懲戒処分が課せられることもあります。
なお、宅地建物取引業法でよく論点になるのは、以下の事項となります。
- 媒介契約の種類
- 宅地建物取引業者の報酬制限について
- 重要事項の説明(35条書面)
媒介契約の種類
宅地建物取引業法において、不動産業者と不動産の売主の間で取り交わされる契約には、媒介契約というものがあります。
媒介契約とは、不動産業者が売主の媒介人として、不動産の売却を仲介する契約のことです。
媒介契約には、①一般媒介契約、②専任媒介契約、③専属専任媒介契約の3種類があります。
宅地建物取引業者の報酬制限について
宅地建物取引業者には、報酬制限という制度があります。
報酬制限は、不動産取引に関する業務報酬を、取引価格の一定割合以内に制限するための制度です。
報酬制限の目的は、不動産業者が高額な報酬を得ることにより、不当な取引を行うことを防止することにあります。
報酬制限により、不動産業者は、自らが受け取る報酬額に見合うような仕事を行うことが求められます。
報酬制限の具体的な金額は、宅地建物取引業法によって定められています。
例えば、住宅用地や住宅建物に関する400万円超の売買取引では、取引価格の3%+6万円以内が報酬制限となっています。
重要事項の説明(35条書面)
宅地建物取引業法には、不動産の売買・賃貸において、宅地建物取引業者が買主・賃借人に対して説明しなければならない重要事項が定められています。
これらの重要事項は、消費者保護のために定められており、消費者が不動産取引に際して正しい判断を行えるようにすることを目的としています。
宅地建物取引業法において定められている主な重要事項は以下の通りです。
- 物件の状況や構造に関する事項:物件の建築年月日、耐震性能、敷地の形状、物件の状況や構造に関する情報。
- 建築基準法等に基づく事項:建築基準法や都市計画法など、法令に基づく建物や土地に関する制限事項。
- 権利関係に関する事項:不動産登記簿謄本に記載されている権利関係や、借地権などの制限事項。
- 費用に関する事項:管理費や修繕費など、物件に関連する費用や負担に関する事項。
- その他の事項:建物の法令違反状況や、災害発生時の緊急連絡先など、その他の重要な情報。
宅地建物取引業者は、重要事項に関する説明を適切に行うことが求められます。
説明の方法は、宅地建物取引士が署名捺印した書面を交付して、宅地建物取引士証を買主・賃借人に提示した上で行わなければなりません。