贈与税は、一定の条件下で贈与を受けた場合に課される税金です。
贈与税の課税財産は、①本来の贈与財産(民法上の贈与財産)と②みなし贈与財産(税法上で贈与を受けたと認定される財産)に区分されます。
特に、みなし贈与財産は、贈与の当事者が贈与と認識していないため問題になることが多いです。
今回は、問題になることが多いみなし贈与財産を中心に、贈与税の課税財産について解説していきます。
本来の贈与財産(民法上の贈与財産)とは
本来の贈与財産(民法上の贈与財産)とは、贈与契約(口頭、書面)によって譲り受けた財産で、金銭で見積もれるものです。
具体的には、以下のようなものがあります。
- 現金
- 預金
- 土地
- 建物(家屋)
- 株式
- 債券(国債・社債など)
みなし贈与財産(税法上で贈与を受けたと認定される財産)とは
贈与契約(口頭、書面)をしていなくても、贈与と同じような経済的利益を受けたと認定され、贈与税が課される場合があります。
この場合に受けた経済的利益をみなし贈与財産といいます。
みなし贈与財産で贈与税が課税される場合があるのは、以下の場合です。
- 低額譲渡
- 債務免除
- 生命保険料
低額譲渡
低額譲渡とは、時価(その資産の市場価格)に比べて著しく低い価額(目安:50%未満)で譲渡することをいいます。
この低額譲渡を個人間で行うと贈与税の課税対象になります。
例えば、Aが昭和40年に1,000万円で仕入れた土地(現在の時価5,000万円)を令和6年にBに2,000万円で売却(=譲渡)した場合が低額譲渡に該当します。
この場合、Bに対して、3,000万円(時価:5,000万円-購入価額:2,000万円)のみなし贈与財産があったと認定され、贈与税が課税されます。
債務免除
債務免除とは、その名の通り、債権者が債務者の債務を免除することです。
この債務免除ですが、個人間の場合、みなし贈与財産に該当し、贈与税が発生する場合があります。
例えば、平成30年にAがBに500万円を貸していて、令和6年にAがBに対して債務免除をした場合です。
Bの債務免除を受けた500万円に関して、みなし贈与財産となり、Bに対して贈与税の支払いが生じる可能性があります。
生命保険料
生命保険料の受取人が保険料を負担せずに受け取った保険金はみなし贈与財産の対象になる可能性があります。
最も多い事例としては、父親が被保険者(つまり保険の対象者)、母親が保険料の負担者、子供が保険金の受取人の場合です。
この場合で、父親が死亡し、生命保険金が子供に支払われた場合、保険料の負担者である母親から子供へのみなし贈与とみなされます。
よって、子供に贈与税の支払義務が生じます。
被保険者と保険料負担者と保険金の受取人の3者が異なる場合は、保険金の受取人に贈与税が課税されるということを覚えておいてください。
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